特集 高コレステロール血症治療の現状と展望
6.PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害薬
小倉正恒
1
,
斯波真理子
2
1国立循環器病研究センター研究所病態代謝部 脂質代謝研究室長
2国立循環器病研究センター研究所病態代謝部 部長
pp.863-867
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201703101
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家族性高コレステロール血症(FH)の家系から発見されたPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)は,新たな脂質異常症治療の創薬ターゲットとして注目されている。既に発売されている抗PCSK9モノクローナル抗体は,強力なLDL-C(低比重リポ蛋白コレステロール)低下作用と高い忍容性を示し,今まで管理目標値への到達が困難であったFH患者のうち,多くの患者のLDL-C値を低下させることが理論的には可能となった。コストをはじめとする課題はあるものの,LDL-C値を管理するという点においてFH診療の未来は随分明るいと感じる。また抗体医薬以外に合成阻害薬などの開発も進んでいる。一方で,FHの診断率の向上,家族スクリーニングの浸透はFH診療における喫緊の課題である。