医薬ジャーナル論壇
活発化する遺伝子治療の研究開発−技術革新が創薬にも追い風−
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.789-790
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201703027
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
遺伝子治療が今,再び脚光を浴びている。1990年,先天性の免疫不全症に対し,米国で世界初の遺伝子治療が実施された時には,新時代の治療法として大きな期待が集まった。しかし2002年,遺伝子治療を受けた患者で白血病が次々と発生し,研究は長らく停滞していた。だが近年,治療遺伝子の導入手法やゲノム編集の分野で技術革新が進み,改めて注目が高まっている。海外では,既に遺伝子治療薬も上市され,複数の新薬開発も進行している。一方,わが国では改正薬事法(薬機法)の施行などで研究環境の整備は進んでいるものの,まだ欧米ほど盛んとは言えない。遺伝子治療は,高額医療となることが予想されるが,既に3兆円を突破している日本の医薬品輸入超過額に鑑みれば,抜本的対策が急務と言える。