Japanese
English
特集 薬物と睡眠をめぐって
モデル不眠症と薬物
Model Insomnia and Hypnotic Drugs
大熊 輝雄
1
Teruo Okuma
1
1東北大学医学部精神医学教室
1Dept. of Psychiatry, Tohoku Univ. School of Mcdicine
pp.177-188
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203543
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I.はじめに
睡眠薬がヒトの夜間睡眠に及ぼす影響を調べる方法には,睡眠薬使用者の主観的体験を調べる方法から,ポリグラフィによって睡眠の特性を客観的に観察する方法まで種々の方法があり,睡眠薬の検定には主観的体験,客観的観察資料の両方が必要である。
また,一般に神経作用薬物の作用は,健常者と病者とでは異なる場合が少なくないので,睡眠薬についても,健常者に投与したときの所見だけでなく,睡眠障害をもつ患者に投与したときの影響を観察する必要がある。とくに睡眠薬の場合には,健常な成人の多くは睡眠が良好で入眠潜時が短く,睡眠時間も長いので,睡眠薬の臨床的使用の主目的である入眠促進,睡眠時問延長などの効果を観察することはほとんど不可能である。しかし不眠患者について頻回の終夜睡眠ポリグラフィを行なうことは,実際には必ずしも容易ではない。また不眠症患者をポリグラフィの被験者にする場合には,患者の不眠の程度や特性が必ずしも均一ではないという問題もある。
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