特集 睡眠科学の新潮流
1.不眠症の認知行動療法
山寺亘
1
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター精神神経科・診療部長/東京慈恵会医科大学精神医学講座・准教授
pp.617-620
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201702057
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)の普及が,本邦の睡眠医療における喫緊の課題である。薬物療法と同時に治療早期から活用されるべきである。CBT-Iは,① 睡眠衛生指導,② 認知的介入,③ 睡眠時間制限法,④ 刺激制御療法,⑤ 筋弛緩療法などの治療技法(構成要素)を組み合わせ,1回30~ 60分の4~8セッションを目安に,個人あるいは集団精神療法として施行される。施行者の属性や習熟度,患者の重症度や併存障害に合わせて,提供する治療形式(個人療法,集団療法,簡易型,自習教材など)を選んでいく段階的ケアモデルが提唱されている。CBT-Iは,重症の慢性不眠症に対する有効性が実証されており,軽症例に対する初期治療,不眠症発症予防としての有用性も期待される。