小特集 実地診療におけるリアルワールドエビデンスの意義と課題~実際の活かしかた,具体的な注意点:循環器領域を中心に~
1.序~リアルワールドエビデンスとは何か~
井上博
1
1富山県済生会富山病院・院長
pp.103-105
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201701103
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臨床開発第III相試験では,高いレベルのエビデンスを得るため無作為化比較試験が用いられる。一般人口を対象とする日常診療に,無作為化比較試験で得られた成績をそのまま当てはめることには注意が必要である。日常診療で遭遇する患者は老若男女さまざまであり,その薬剤の適応疾患を持っていても病態は複雑であり,さまざまな合併症を持っているからである。そこで,日常診療の現場で実際に治療される患者を対象にして,その有効性,安全性などを明らかにするために登録研究(Clinical registries)が行われる。実際の日常診療の現場で得られた成績はリアルワールドエビデンス(Real world evidence)と呼ばれ,有用な情報を提供するが,問題点・限界があることを理解して利用することが重要である。