第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
抗リウマチ薬
折口智樹
1
,
川上純
2
[同リハビリテーション科学講座運動障害リハビリテーション学分野・教授]
1
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻リウマチ・免疫病態制御学講座
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻リウマチ・免疫病態制御学講座 教授
pp.375-382
発行日 2016年1月31日
Published Date 2016/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201613375
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近年,関節リウマチの治療のターゲットは炎症性サイトカインを制御することに主眼が置かれているが,今回は骨をターゲットとした新たなコンセプトの抗体製剤が登場した。デノスマブは既に骨粗鬆症の治療薬として臨床応用されているが,関節リウマチ患者のQOL(quality of life)に直接関与する骨変化を抑制することも明らかにされ,治験が進行中である。 デノスマブは完全ヒト型の抗ヒトRANKL(receptor activator of NF-kappa Bligand)モノクローナル抗体で,膜結合型,可溶型のRANKLに結合して,RANK/RANKL経路を抑制し,破骨細胞の分化を抑制する。骨粗鬆症では半年に1回の皮下注で十分な抑制効果を有している。デノスマブはRANKLに特異的に結合するため,これまでの生物学的製剤とは異なり,重篤な感染症などの有害事象が少なく,比較的安全な長期投与も期待されている。