特集 薬剤誘発性認知症
6.循環器系治療薬・消化器系治療薬によって誘発される認知症・認知機能障害
矢野浩
1
,
入谷敦
2
,
森本茂人
3
1金沢医科大学高齢医学科
2金沢医科大学高齢医学科 講師
3金沢医科大学高齢医学科 教授
pp.2493-2496
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201611095
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降圧薬,抗不整脈薬,利尿薬などの循環器系治療薬や,H2受容体拮抗薬,プロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor:PPI)などの消化器系治療薬を内服している中年齢・高齢者は,多い。高齢者では,加齢に伴う生理的な腎機能・肝機能障害によって薬剤の代謝・排泄機能が低下しており,薬物血中濃度が高値となりやすく,特に肝疾患や腎疾患を有する症例では,さらに副作用をきたす危険性が高くなる。循環器系治療薬では特に抗コリン作用を持つシベンゾリン,ジソピラミド,キニジンなどの抗不整脈薬のほか,降圧薬,ジゴキシンなどが認知障害を誘発するとされているが,利尿薬が認知症・アルツハイマー病のリスクを低下させたとの報告もある。消化器系治療薬ではシメチジンによる認知機能障害の報告が多いが,その他のヒスタミンH2受容体拮抗薬,PPIなども認知症の発症リスクを上昇させる可能性がある。