特集 PK/PDに基づく薬物療法と新薬開発の最前線
6.抗がん薬のPK/PD
今村知世
1
1慶應義塾大学医学部臨床薬剤学教室・専任講師
pp.1671-1679
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201607081
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殺細胞性抗がん薬は休薬期間を含む間欠投与が一般的であり,抗腫瘍効果が腫瘍の薬剤感受性に依存するため,好中球減少などの毒性におけるPK/PD(pharmacokinetics/pharmacodynamics)相関は認められても,有効性における相関性には限界があった。一方,分子標的薬は連日投与される経口剤が多く,特定の標的を有した腫瘍に対して投与されることから,毒性のみならず有効性に関するPK/PD相関が続々と報告されている。PK/PD相関に基づき明確な目標濃度が存在する薬剤では,そのTDM(therapeutic drug monitoring)の保険収載が待たれる。なおTDM による個別化投与の実践においては,信頼性の保証された測定法による血中濃度測定が前提となるため,測定法のバリデーションは必須である。