連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(50)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 急性間質性腎炎,CYP3A4,服薬アドヒアランス,セント・ジョーンズ・ワート,心筋炎
Keyword:
● 急性間質性腎炎,CYP3A4,服薬アドヒアランス,セント・ジョーンズ・ワート,心筋炎
pp.1540-1546
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061540
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.骨髄炎のためセフェピムが投与されていた患者において,投与4週後から腎機能が悪化し,急性間質性腎炎を認めた症例が報告されている。 2.カナダの健康情報データベースを用いたコホート研究において,高齢者ではCYP(チトクロムP450)3A4で代謝されないスタチンであっても,クラリスロマイシンの併用により有害事象のリスクが上昇することが報告されている。 3.eGFR(推算糸球体濾過量)低下患者を対象としたアンケート調査において,服薬アドヒアランスが悪い患者では有害事象の発現や,薬物が関連した問題の経験が多く,服薬アドヒアランスと有害事象との関連が認められた。 4.エベロリムスを服用していた患者において,ボリコナゾールを併用するにあたりエベロリムスを減量したにも関らず,血中濃度が高値を示し,肺炎が悪化した症例が報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,セント・ジョーンズ・ワート併用によりアンブリセンタンのAUC(血中濃度-時間曲線下面積)が軽度に低下し,見かけの全身クリアランスが軽度に上昇したことが報告されている。 6.潰瘍性大腸炎のためメサラジンが投与された患者において,投与3日目に胸痛を訴え,心原性ショックを呈するなど心筋炎が疑われた症例が報告されている。