特集2 眼疾患におけるROCK阻害薬の可能性
3.ROCK阻害薬の緑内障治療薬への応用
本庄恵
1
1東京大学医学部眼科学教室・講師
pp.1499-1504
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061499
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近年,緑内障治療薬は選択肢が増え,多剤併用薬物療法が治療の第一選択である。緑内障における眼圧上昇の原因は,主経路の房水流出抵抗増大が原因とされるが,これまで主経路に作用する治療薬は存在しなかった。主経路に直接作用する初の緑内障治療薬としてROCK(Rhoキナーゼ)阻害薬が2014年末より使用可能となり,既存の薬物による治療で眼圧下降効果が十分に見られない,もしくは進行を十分に抑えられないような症例で,より効率的な眼圧下降治療が期待されている。基礎実験では神経保護効果,瘢痕形成抑制効果が報告されているほか,Rho-ROCKシグナル伝達と緑内障の病態の関連の解明について,今後の研究の展開が期待される。