特集2 眼疾患におけるROCK阻害薬の可能性
4.ROCK阻害薬と神経保護効果
丸山和一
1
,
中澤徹
2
1東北大学病院眼科 講師
2東北大学病院眼科 教授
pp.1505-1509
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061505
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
緑内障において唯一エビデンスのある治療は眼圧下降治療であるが,それをもってしても,病態が悪化する症例がある。そのような患者に対して,緑内障の病態である神経節細胞死を抑制する神経保護治療という概念が近年注目されている。その中でROCK(Rhoキナーゼ)阻害薬は,中枢神経系疾患などで神経保護効果のある薬剤として注目を浴びている。ROCKは低分子GTP結合蛋白Rhoの標的蛋白として同定されたセリン-スレオニン蛋白リン酸化酵素であり,細胞の形態変化などのさまざまな生理機能に関与している。緑内障研究においてもRho/ROCKを阻害することで,種々の刺激による網膜神経節細胞死が抑制される(=神経保護効果がある)ことが判明した。今後,ROCK阻害薬は緑内障分野でも神経保護治療として期待されている。