特集2 眼疾患におけるROCK阻害薬の可能性
2.緑内障における眼圧上昇の成因とRho-ROCKシグナル
井上俊洋
1
1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学分野・講師
pp.1495-1498
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061495
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緑内障における眼圧上昇は,房水流出量の減少が主因である。ヒトの場合,隅角にある線維柱帯・シュレム管を介した主経路からの房水流出量が多い。線維柱帯細胞は細胞外マトリックスの新陳代謝,異物の貪食,収縮/弛緩によって房水流出量の調節に寄与しているが,Rho-ROCK(Rhoキナーゼ)シグナルはこれらの機能の一部に関連する。発達緑内障では未発達な隅角組織によって房水流出抵抗が上昇し,眼圧上昇の成因となる。閉塞隅角緑内障では隅角が物理的に閉塞し,眼圧が上昇する。開放隅角緑内障では,主に線維柱帯細胞の機能不全や細胞外マトリックスや病的産物などの沈着による顕微鏡的な流出路の閉塞によって眼圧が上昇する。