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Rhoファミリー低分子量G蛋白質群は,20の蛋白質から成るRasスーパーファミリーに属する亜群である1)。更に,八つのサブファミリーに分類される。その八つとは,①Rac1,Rac2,Rac3 RhoG,②Cdc42,TC10(RhoQ),TCL(RhoJ),③CHP(RhoV),WRCH1(RhoU),④RhoH,⑤RhoBTB1,RhoBTB2,⑥RhoA,RhoB,RhoC,⑦RND1,RND2,RND3(RhoE),⑧RIF(RhoF),RhoDであるが,一般的にRhoファミリーと称される場合,RhoA,Rac1,Cdc42を示すことが多い。これらは順にアクチンの重合,葉状突起,糸状突起形成を促し,細胞の移動・浸潤に寄与すると考えられている。近年,RhoAやRac1の分子群の活性化型変異が癌細胞で見つかっており,更に注目を集めている。また,ヒトES細胞が分散培養によって陥るアポトーシスの際には,RhoAの活性化(およびRac1の不活性化)とRhoA下流のROCKの活性化が起こることからも,再生医療においても注目されている。
RhoファミリーはRasと同様にGTPかGDPに会合しており,GTPに会合しているときのみ下流分子を活性化することができる分子スイッチである。自身が持つGTPの水解反応,それを活性化する因子(GAP)が負の制御因子として,GDPやGTPの解離を促進するグアニンヌクレオチド交換因子が正の制御因子としてある。Rasと異なるのは,負の制御因子としてRhoGDIという蛋白質群があることで,Rhoファミリーに結合し,その局在を細胞質にとどめることで不活性化している。
RhoA,Rac1,Cdc42の制御因子は複数あり,特性も分子によって異なる2)。活性化因子はDblファミリーとDOCKファミリーに分類されるが,共にイノシトールリン脂質によって形質膜に局在させる領域と,グアニンヌクレオチド交換を担う領域を持っている。GAPの場合も特異性は各分子で異なっているが,脂質はDAGなどの場合もあり,脂質結合領域を持たないものもある。
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