特集1 超高齢社会における適正薬物療法の特質 ~ガイドラインの今日的役割と薬剤師の責務~
4.高齢者糖尿病の薬物療法
梅垣宏行
1
1名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療・老年科学・講師
pp.1455-1458
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061455
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国では人口の高齢化とともに,高齢者糖尿病患者が増加している。高齢期の糖尿病患者には,高血糖や網膜症・腎症・神経障害などのいわゆる糖尿病性合併症だけでなく,認知機能低下やサルコペニア・フレイルなどの高齢期特有の病態が合併しやすいので注意が必要である。 日本老年医学会による「安全な薬物療法ガイドライン」では,75歳以上の高齢者,もしくはフレイルの患者の場合にはSU(スルホニル尿素)剤,特にグリベンクラミドは低血糖が多く,遷延しやすいため,可能であれば使用を控えるようにと記載され,代替薬としてDPP4(dipeptidyl-peptidase-4)阻害薬を提案している。また,ビグアナイド剤については,高齢者では乳酸アシドーシスのリスクが高いので慎重に投与すべきであるとしている。