特集1 超高齢社会における適正薬物療法の特質 ~ガイドラインの今日的役割と薬剤師の責務~
2.認知症・周辺症状(BPSD)の薬物療法
荒井啓行
1
,
冨田尚希
2
1東北大学加齢医学研究所 脳科学研究部門 老年医学分野・教授
2東北大学病院老年科・院内講師
pp.1443-1445
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061443
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2015年12月に改訂された「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」は,安全性に主眼を置いたガイドラインであり,有効性に主眼を置いている通常の治療ガイドラインとは性質が異なる。ガイドラインの基本的な適応対象は,主に75歳以上の高齢者および75歳未満でもフレイルあるいは要介護状態の高齢者であり,慢性期(特に1カ月以上の長期投与)の薬物療法の安全性についてのエビデンスがまとめられている。高齢者に対する薬物療法と認知症の薬物療法は,注意すべき点に共通する部分が多く,同ガイドラインの内容を把握しておくことの意義は大きい。ガイドラインでは,認知症の薬物療法を中核症状と行動・心理症状(BPSD)に分け,別々に扱われている。認知症の中核症状では,クリニカルクエスチョン(CQ)が3つ,BPSDにはCQが1つ立てられている。 本稿では,ガイドラインにおける認知症薬物療法の内容をもとに,認知症患者の適正な薬物療法管理について考察する。