特集1 超高齢社会における適正薬物療法の特質 ~ガイドラインの今日的役割と薬剤師の責務~
1.高齢者における薬物療法の考え
秋下雅弘
1
1東京大学大学院医学系研究科加齢医学/東京大学医学部附属病院老年病科・教授
pp.1437-1441
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061437
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高齢者は薬物有害事象が出やすいが,その二大要因は薬物動態の加齢変化と多剤服用(polypharmacy)である。薬物動態上の対応は,少量で開始する原則と長期処方中の投与量見直しであり,多剤服用に対しては優先順位を考慮した処方薬の絞り込みを心がける。また,一般成人では有用性が高くても,高齢者にふさわしくない薬物があることを理解する。 さらに,高齢者では認知機能や視力,聴力の低下などコミュニケーション能力の低下を認める場合も多く,個々の患者の服薬管理能力を把握し,アドヒアランスを維持するための手法を実践することが重要である。