特集 認知症 ~病態と治療~
8.認知症高齢者への薬物治療とその留意点
荒井啓行
1
,
冲永壯治
2
,
冨田尚希
3
1東北大学加齢医学研究所 脳科学研究部門 老年医学分野・教授
2東北大学病院老年科 准教授
3東北大学病院老年科 院内講師
pp.881-883
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603881
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今日,アルツハイマー病(AD)に保険適用を有する保険収載薬は4種類ある。その内訳は,コリンエステラーゼ阻害薬3剤と,グルタミン酸NMDA(N -methy-D-aspartate)受容体拮抗薬1剤である。コリンエステラーゼ阻害薬のドネぺジルは,レビー小体型認知症にも適応を有する。また,漢方薬の抑肝散や非定型抗精神病薬は,ADに保険適用はないが,認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)に対して,現場での使用が広く行われている。認知症高齢者は薬物の服用を自己中断したり,逆に過剰に摂取したりして,有害事象に結び付きやすい。そこでriskとbenefitのバランスを考え,必要最小限の薬物をstart low and go slowの原則の下,腎機能などの定期的なチェックを行いながら使用する。