特集 最新のがん免疫療法
5.がん幹細胞を標的としたペプチドワクチン療法の開発
芝山雄二
1
,
塚原智英
2
,
鳥越俊彦
3
1札幌医科大学医学部病理学第一講座
2札幌医科大学医学部病理学第一講座 講師
3札幌医科大学医学部病理学第一講座 教授
pp.1073-1076
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604093
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がん幹細胞は,正常組織の幹細胞と同様の遺伝子を発現しているがん細胞の亜集団で,自己複製能や多分化能のような幹細胞の特徴と高い造腫瘍能を有している。がん幹細胞は高度の細胞ストレス耐性も持っており,化学療法や放射線療法の治療抵抗性や再発の要因と考えられている。我々は,がん幹細胞が細胞障害性T細胞に対して感受性を持っていることを突き止め,がん幹細胞を標的とした免疫療法について研究を行っている。がん幹細胞特異抗原を探索した結果,それらの多くは胚細胞に発現している機能抗原であることが判明した。がん幹細胞の免疫病理学的特質に基づき,次世代の複合型ペプチドワクチン療法を開発中である。