特集 明日から使える免疫関連有害事象マネジメント ~免疫チェックポイント阻害薬の看護ケア~
第Ⅱ章 免疫チェックポイント阻害薬治療の実際 ~看護師が押さえておくべきエッセンス~
免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法
岩本 義弘
1
1国立がん研究センター東病院薬剤部
pp.116-120
発行日 2022年2月15日
Published Date 2022/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_116
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はじめに
これまでがん治療は,手術,放射線治療,抗がん薬治療の3つが主な治療方法であった.これに加え現在,わが国で2014年9月に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)であるニボルマブが薬価収載されて以降,2021年6月時点でイピリムマブ,ペムブロリズマブ,アベルマブ,アテゾリズマブ,デュルバルマブの計6種類のICIが薬価収載され,ICIによる免疫療法が実臨床において単剤もしくはほかの抗がん薬と併用して使用されている.
生体には免疫機構が存在し,自己と非自己を認識することで細菌やウイルスだけではなく,腫瘍細胞を排除するはたらきをもつ.この免疫機構で重要な役割をもつものとしてT細胞がある.T細胞にはCTLA-4 (Cytotoxic T-lymphocyte associated antigen 4)やPD-1 (Programmed-cell death-1)などのいくつかの免疫チェックポイント分子が存在しており,これらを介しT細胞の活性化が抑制され,過剰な免疫反応を抑えることができる.腫瘍細胞はこのPD-1と結合するPD-L1 (Programmed-cell death-ligand 1),PD-L2 (Programmed-cell death-ligand 2)をもつためT細胞からの攻撃を避け,増殖することが可能となると考えられている.現在使用されているICIは,このCTLA-4やPD-1,PD-L1に対する抗体薬である(図1).
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