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特集 免疫チェックポイント分子による生体機能制御
Ⅱ.免疫チェックポイント分子とがん
免疫チェックポイント阻害によるがん免疫療法
Cancer immunotherapy by immune-checkpoint blockade
河上 裕
1,2
Kawakami Yutaka
1,2
1国際医療福祉大学医学部
2慶應義塾大学医学部先端医科学研究所細胞情報研究部門
キーワード:
免疫チェックポイント
,
CTLA-4
,
PD-1/PD-L1
,
がん免疫療法
Keyword:
免疫チェックポイント
,
CTLA-4
,
PD-1/PD-L1
,
がん免疫療法
pp.187-193
発行日 2019年6月15日
Published Date 2019/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200982
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長年期待されていた腫瘍抗原特異的T細胞応答を利用するがん免疫療法として,免疫チェックポイント阻害薬と体外培養T細胞を用いる養子免疫療法の開発が進み,標準治療に抵抗性の進行がんに対しても持続的な腫瘍縮小効果が示された。従来,免疫療法が比較的効く特殊ながんとされた悪性黒色腫や腎がんを超えて,肺がん,胃がん,大腸がん,膀胱がん,中皮腫,頭頸部がん,悪性リンパ腫など様々ながんに対して腫瘍縮小効果を示したことは,臨床の現場での免疫療法の位置付けを一変させ,がん治療開発の方向性も変わりつつある。Science誌は,がん細胞でなく免疫細胞を標的にして,複数のがん種で明確な治療効果を示したがん免疫療法を,がん治療のパラダイムシフトを起こしたとして2013年度Breakthrough of the Yearに選び,免疫チェックポイント阻害薬を基軸とした複合的ながん免疫療法を今後期待できる戦略として,Areas to watch 2015とした。その後のアカデミアと企業による基礎研究と臨床研究の進展はすさまじく,既に複数の複合がん免疫療法が承認されている。また,従来のがんワクチンなどとは異なり,明確に効く症例と効かない症例を分けることができる免疫チェックポイント阻害薬では,そのリバーストランスレーショナル研究から抗腫瘍免疫応答の病態解明に,臨床的には,治療効果を予測するバイオマーカー候補や新規治療標的候補の同定が進んでいる。
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