連載 薬剤師による処方設計(43)
疼痛緩和における“テーラーメイド治療”の実現に向けて
井手聡一郎
1
,
吉田香織
2
,
西澤大輔
3
,
福田謙一
5
,
池田和隆
4
1公益財団法人東京都医学総合研究所依存性薬物プロジェクト 主席研究員
2公益財団法人東京都医学総合研究所依存性薬物プロジェクト 協力研究員
3公益財団法人東京都医学総合研究所依存性薬物プロジェクト 主席研究員
4公益財団法人東京都医学総合研究所依存性薬物プロジェクト 参事研究員
5東京歯科大学口腔健康科学講座障害者歯科・口腔顔面痛研究室・教授
pp.925-929
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603925
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疼痛緩和医療では主にオピオイド鎮痛薬が用いられているが,その効果は個人差が大きいため,試行錯誤によって各患者の適量を見出しているのが現状である。この痛みや鎮痛薬の感受性における個人差は,遺伝的因子も大きく影響していることが明らかにされている。 我々は,顎矯正施術を受けた患者を対象として,術後疼痛管理に必要なオピオイド鎮痛薬量と種々の遺伝子多型との関係を,候補遺伝子解析およびゲノムワイド関連解析(Genome Wide Association Study:GWAS)によって調査した。さらに,術後疼痛管理に必要なオピオイド鎮痛薬量を算出する予測式を構築した。今後,予測式の精度を向上させることで,早期から効果的なテーラーメイド疼痛緩和医療を行うことが期待され,薬剤師としての積極的な関与が求められている。