特集 認知症 ~病態と治療~
7.前頭側頭葉変性症の病因,病態と治療
互健二
1
,
品川俊一郎
1
1東京慈恵会医科大学 精神医学講座
pp.875-879
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603875
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)は,前頭葉・側頭葉前方に病変の主座をおく変性疾患群の総称である。多くの背景病理を持つヘテロジニアスな疾患群であり,その分類や呼称の変遷があったが,現在は臨床症候群としてbvFTD(behavioral variant frontotemporal dementia),nfvPPA(nonfluent-variant primary progressive aphasia),svPPA(semantic-variant primary progressive aphasia)の3つの類型に大分される。その頻度は,若年発症例では決して稀ではなく,特に中核となるbvFTDは脱抑制や常同行動,自発性の低下といった特徴的な行動異常を呈し,高い介護負担を強いられる。 研究の発展により,蓄積する異常蛋白や遺伝子異常の病態解明が進んでいるが,未だ有効な治療法が確立されておらず,非薬物的な介入が重要である。