医薬ジャーナル論壇
オーファンドラッグ増加と薬剤師の役割―国の支援策で進む企業の開発シフト―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.809-811
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603809
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近年,オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)が,医療現場で存在感を増している。従来,製薬企業の主たる創薬対象は,感染症や生活習慣病などのように,患者数も多く市場規模の巨大な疾患を標的とする,「ブロックバスター」と呼ばれる医薬品に集中していた。しかし,それら疾患の治療薬は,もはや飽和状態となっただけでなく,今後相次ぐ特許切れのため,その殆どが後発医薬品に置き換わると予想されている。そこで,新薬開発の主戦場は,難病や希少疾患など,既存薬では治療困難な「アンメット・メディカルニーズ(未充足な医療需要)」を満たす,オーファンドラッグに移りつつある。オーファンドラッグは,投与対象が難病や希少疾患であることから,作用機序が複雑で,副作用にも注意すべき薬が多い。薬剤師には,医療現場でオーファンドラッグを適切に使用するために,薬学的見地に立って,医師や他の医療スタッフを支援する役割が課せられている。