小特集 治療抵抗性高血圧および コントロール不良高血圧の治療戦略
2.治療抵抗性高血圧およびコントロール不良高血圧に対する降圧薬治療 1)各降圧薬の特徴を踏まえた用法・用量の修正,および組み合わせの変更
大石充
1
1鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学・教授
pp.694-698
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602694
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
食塩感受性の高い日本人では,降圧利尿薬をうまく使うことが治療抵抗性高血圧の克服に重要なことであるが,現実にはその使用頻度は高くないのが実状である。耐糖能異常などの副作用が懸念されるからであるが,低カリウムに気をつけることで,比較的安全に使用することができる。また血管が硬いタイプの高血圧はカルシウム拮抗薬が非常に有効であるが,浮腫などの副作用に注意が必要である。アンジオテンシン受容体拮抗薬は塩分制限をしていないと治療効果は限定的であり,高齢者には低ナトリウム血症に注意が必要である。若年者の脈拍上昇型の高血圧にはβ遮断薬が有効であるが,高齢者では脳卒中発症を増加させる可能性もあるので注意が必要である。このように病態をしっかりと把握して降圧薬を選択することが,良好なコントロールを得る上で重要なことと思われる。