特集 薬物乱用・依存・中毒の現状~「危険ドラッグ」を中心に~
1.「危険ドラッグ」とは 2)その急性中毒と依存性について
舩田正彦
1
1国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部 依存性薬物研究室・室長
pp.635-639
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602635
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
近年,危険ドラッグの乱用が原因の交通事故や意識障害などによる救急搬送が増加し,大きな社会問題となっている。危険ドラッグとして,2007年辺りまでは幻覚症状を主体とするセロトニン系化合物やフェネチルアミン系化合物が検出されている。2012年以降,いわゆる「脱法ハーブ」の蔓延時には,合成カンナビノイドおよびカチノン系化合物が検出されている。合成カンナビノイドは,幻覚作用に加え運動機能に著しい影響を与えるため,乱用に基づく交通事故の発生に関わるとされる。一方,カチノン系化合物は,著明な興奮作用を示し,暴力事件への関与が示唆されている。合成カンナビノイド,カチノン系化合物は精神依存性が強力であり,長期乱用による健康被害は深刻である。