特集 薬物乱用・依存・中毒の現状~「危険ドラッグ」を中心に~
1.「危険ドラッグ」とは 1)その検出事例の変遷
花尻(木倉)瑠理
1
1国立医薬品食品衛生研究所生薬部第3室・室長
pp.629-632
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602629
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この3年間で危険ドラッグを取り巻く状況は著しく変化した。危険ドラッグ製品は,含有成分が指定薬物に指定されると,速やかに構造類似物質に置換して販売されるため,流通と規制との「いたちごっこ」が続いていた。特に2012年頃から,危険ドラッグが起因した健康被害や自動車事故が急増し,深刻な社会問題となった。一方,2014年6月末に発生した危険ドラッグが起因した自動車暴走事件を契機に,国をあげて危険ドラッグに対する規制と取り締まりを強化した結果,2015年には危険ドラッグ製品の流通は激減した。 本稿では,そもそも危険ドラッグとは何か,また,指定薬物指定による規制と危険ドラッグ流通実態の変化について,簡単に解説する。