巻頭言
「危険ドラッグ」を考える
融 道男
1
1メンタルクリニックおぎくぼ
pp.248-249
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405204886
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2007年4月から「脱法ドラッグ」を「指定薬物」と認定して,製造・販売を禁止されるようになったが,社会問題は解決されていない。
2015年1月20日,毎日新聞朝刊一面のトップ6段記事の中,「危険ドラッグ」,「同じ包装 毒性に差」,「ずさんな製造法」,「まるでロシアンルーレット」の見出しがある。ドラッグの吸引による交通事故が繰り返される背景に,毒性の強弱が極端に異なり,ずさんな製造で強い薬物が増えることに警鐘を鳴らしている。その前には1月12日毎日新聞朝刊の三面記事のトップ6段に,大きく「完全にハマっていた」,「危険ドラッグ—職も免許も失う運転手」,「生活苦つい手出し」などの見出しを読んだ。昨年9月24日,タクシーを運転した男性(54歳)が蛇行と青信号での停車など不審な動きを繰り返し,警官に見つけられた。職務質問で「ドラッグを吸ったか?」「吸いました」。男性は素直に認め,ポケットからは植物片の袋と吸引パイプが見つかり,道路交通法の違反容疑で逮捕された。彼は「ハーブが切れるとゼンマイが切れたように体が動かなくなる。完全にハマっていた」と述べた。彼が使用した危険ドラッグはNM2201で大麻の約10倍の薬理作用で依存性が強い。他にも,昨年6月,池袋で7人の死傷事故を起こし運転処罰法違反罪で起訴された男性(37歳)も店の前で吸引して運転したという。約4年前から吸引を始めたらしく,吸引した薬からは大麻の20倍という強い毒性成分が検出された。この事件以降,警察の取り締まりが強化されたこともあり,摘発が増えた。
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