特集 ウイルス感染症との新たな戦い ~グローバル化する 脅威の克服を目指して~
8.ヒト免疫不全ウイルス/後天性免疫不全症候群 (HIV/AIDS)
西島 健
1
,
滝口雅文
2
1熊本大学エイズ学研究センター [国立研究開発法人国立国際医療研究センターエイズ治療・ 研究開発センター]
2熊本大学エイズ学研究センター 教授
pp.2595-2599
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201511107
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症における治療・予防の概念は,ここ数年で劇的な変化を遂げた。HIV感染例は原則として全例治療することで予後が改善し,また治療により血液中のHIV量が抑えられた症例では,性交渉による他者への感染性を失うことが明らかになった。治療による予防,すなわちTreatment as preventionは,HIV感染症の感染拡大予防において最も重要な戦略となっている。本邦に目を向けると,新規感染例は増え続け,ここ4~5年は年1,500例前後が報告されており,減る気配が見られない。本邦においても,HIV感染例は原則として全例を治療し,感染例の予後を改善させるとともに,感染予防につなげる取り組みが求められている。