増刊号 診断基準とその使い方
VIII.膠原病・免疫・アレルギー
17.後天性免疫不全症候群(AIDS)
高橋 浩文
1
,
松本 孝夫
1
1順天堂大学医学部・内科(膠原病)
pp.2120-2123
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222019
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■疾患概念と疫学
後天性免疫不全症候群(AIDS;acquired immunodeficiency syndrome)はレトロウイルス科に属するRNAウイルスであるHIV(human immunodeficiency virus)感染によりひき起こされる免疫不全症候群である.1981年,米国Los Angelsにおいて男性同性愛者に発症したカリニ肺炎の報告に端を発した本疾患は,1982年米国防疫センター(CDC;Center forDisease Control)によりAIDSと名付けられ,診断基準が作成された.その後,1983年フランスにてLAV(lymphadenopathy associated virus),1984年米国にてHTLV-III(human T-lymphotropic virus typeIII)が原因ウイルスとして分離され,現在呼称がHIVと統一されている.HIVは主にヒトヘルパーTリンパ球上にあるCD 4蛋白に結合し感染することにより,ヘルパーT細胞やマクロファージの障害を生じ,重篤な免疫不全状態をつくりだす.
HIV感染症は1988年2月現在,世界各国においてすでに500万〜1,000万人にのぼると推定され,AIDS患者数も140カ国108,176人が確認されているが(1988年7月現在),WHOは実際上の患者数を約15万人と推計している.
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