特集 ウイルス感染症との新たな戦い ~グローバル化する 脅威の克服を目指して~
9.ノロウイルス感染症(Norovirus)
中込治
1
,
中込とよ子
2
1長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座分子疫学分野
2長崎大学大学院医歯薬学総合研究科感染免疫学講座分子疫学分野 教授
pp.2601-2606
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201511113
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ノロウイルス感染症(Norovirus)は,乳幼児から高齢者までの全年齢層におよぶ罹患率の非常に高い感染症である。また,ゲノムが多様性に富み,変異が速く,新しい変異株は大きな流行を起こし,グローバルな脅威となる。過去10年以上にわたり,世界を席巻してきたノロウイルスは,カプシド遺伝子型がGII.4およびGII.3の株であった。また,ノロウイルスの4分の1以上はポリメラーゼ遺伝子型とカプシド遺伝子型が不一致な組換え体であり,最後のGII.4変異株Sydney_2012もそうであった。最近,出現した新型のGII.17株は,ポリメラーゼ遺伝子型も新規なGII.P17であり,その動向にはグローバルレベルでの監視が必要である。