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高知医療センター(以下,当院)は,全国初の県,市の統合病院として2015年3月で開院10周年を迎えた。病床数は660床,薬剤師は25人であり,薬剤局では,開院時から,全フロア(1フロア2病棟)に病棟担当薬剤師を配置し,「見える臨床薬剤師をめざして,より信頼され,より親しまれる薬学ケアサービスを実践する」との理念の下,病棟業務を行ってきた。 整形外科領域では,化膿性骨髄炎,化膿性関節炎,骨・関節のインプラント感染などのMRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)感染症や結核性脊椎炎に対して,良好な骨移行性と抗バイオフィルム効果を有することから,リファンピシンが使用される。MRSA感染症治療ガイドライン1)にはリファンピシン,スルファメトキサゾール・トリメトプリム合剤に対するMRSAの感受性は良好であり,リファンピシン,ミノマイシン,クリンダマイシンは骨への移行性が良いので,抗MRSA薬と感受性のあるこれらの抗菌薬を併用するとよいとの意見がある,と記載されている。一方,リファンピシンは,チトクロムP450(主にCYP3A4)をはじめとする肝薬物代謝酵素,P糖蛋白を誘導する作用がある。Ohno2)によると,酵素誘導作用は他の酵素誘導薬剤と比較して最も強力と言われている。(図1)。そのためリファンピシンは多くの薬剤と薬物相互作用を有することから,併用薬剤との相互作用による有害事象に注意が必要である。 今回,当院整形外科病棟においてリファンピシンが投与された患者の併用薬剤について調査し,薬剤管理指導時に薬物相互作用発現のため薬学的介入を要した症例について紹介する。