特集 スポーツと医学(医療),スポーツ薬理学 ~スポーツにおける適切な 薬物治療への支援~
1.スポーツ薬理学
鈴木秀典
1
1日本医科大学大学院医学研究科薬理学分野・教授
pp.71-74
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201507071
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一過性運動を開始すると,自律神経系活動はその運動強度に応じて変動し,生体の自律機能を運動に適応させる。運動に伴う交感神経系の活性化によって,血流の再分配やエネルギー代謝の変化が起こる。従って,個々の薬物あるいは剤形の特性により,薬物動態および薬理作用の変動が起こる可能性がある。一方,薬物の中には,筋力の増強,酸素運搬能の増強,中枢神経刺激(興奮)作用を有するため,ドーピングに用いられるものもあり,こうした薬物の誤用・乱用では重篤な有害反応も起こり得る。スポーツを楽しむ,あるいは競技する上で,薬物の体内動態や薬理作用の変動に関するスポーツ薬理学の知識は,今後ますます必要とされるであろう。