連載 薬理学―見方をかえたら・1【新連載】
薬理学は難しくない?
堀 誠治
1
1東京慈恵会医科大学薬理学講座第1
pp.285
発行日 1998年4月25日
Published Date 1998/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901812
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学生にとっての“薬理学”は「難しい」「嫌い」「薬の名前ばかり」という感想に代表されます.確かに“薬理学”の「講義」では,教科書に記載されていることを中心に話を進めていますので,どうしても知識中心になりがちです.また,早くから臨床系の講義・実習が始まる学生に,“薬理学”を講義するものとしては,臨床実習,さらにはその後に来る国家試験を意識せざるを得ません.とにかく短時間に効率よく必要な事柄(薬物の作用,体内動態,副作用など)を講義するということになり,薬物(化学物質)と生体との関係のおもしろさは,伝えたくても伝わらないままにすぎてしまいます.
外来の化学物質(生体にとっては異物ともいえる)である薬物は,種々の反応を生体にもたらした後,生体から色々な形で排除されます.その間,生体は,ある時は極めて厳密に,またある時には全くルーズに薬物と反応をします.同じ生体の中に,“几帳面さ”と“いい加減さ”が同居しているのです.
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