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〔目的〕高リン血症を呈する透析患者にクエン酸第二鉄水和物(製品名:リオナ®錠250mg,以下,JTT-751)を使用した場合を想定し,JTT-751による赤血球造血刺激因子製剤(Erythropoiesis-stimulating agents:ESA)および静注鉄剤の投与量変更に伴って期待される薬剤費削減額を推計する。 〔方法〕JTT-751の血液透析患者を対象とした長期投与試験(オープン試験,52週間)で観察されたJTT-751投与群のESAおよび静注鉄剤投与量の減少結果を基に,これら両剤の投与量減少による薬剤費の変化をモンテカルロシミュレーションにより推計した。本分析は,既に高リン血症治療に繁用されている炭酸ランタン水和物(以下,炭酸ランタン)からJTT-751に切り替えた場合を想定した。また,評価時期(切り替え後1年間,切り替え後1~2年)および設定する確率分布の違いを考慮し,合計4つのシナリオに関して分析を行った。炭酸ランタンからJTT-751への切り替えによるESAおよび静注鉄剤の費用への影響は,設定した確率分布に基づく10,000回のモンテカルロシミュレーションにより推計した。ESAおよび静注鉄剤の投与量減少に関する感度分析も実施した。感度分析の実施範囲は,基準値の10%増減値とした。 〔結果および考察〕炭酸ランタンからJTT-751への切り替えによるESAおよび静注鉄剤の平均薬剤費削減額は,分析期間を切り替え後1年間とした場合で年間51.3~ 51.5億円(33,310~ 33,430円/年・人),分析期間を切り替え後1~2年とした場合で年間77.3~ 77.5億円(50,236~ 50,314円/年・人)と推計された。感度分析の結果,いずれのパラメータも分析結果への影響は小さく,設定した分析実施範囲についてJTT-751への切り替えが薬剤費削減的であるという結果は変わらなかった。 〔結論〕JTT-751は,炭酸ランタンと同様の高リン血症の改善に加え,本分析により,本剤の鉄を含有するという特徴がもたらすESAおよび静注鉄剤の投与量減少により,透析療法施行時の薬剤費の削減も期待されることが示された。