特集 最新の腎疾患診療とその展望
4.多発性嚢胞腎の最新治療
片岡浩史
1
,
望月俊雄
2
1東京女子医科大学第四内科
2東京女子医科大学第四内科 講師
pp.1325-1325
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201505089
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常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は,主に成人で発症する最も頻度の高い遺伝性腎疾患である。加齢とともに嚢胞が増加・増大して腎機能が低下するため,70歳までに約半数の患者が末期腎不全となり,腎移植・透析療法などの腎代替療法が必要となる。日本では約3万人の患者がいるとされ,本邦の透析導入原疾患の第4位がADPKDである。2014年にバソプレシンV2受容体拮抗薬(トルバプタン)のADPKDに対する保険適用が承認された。トルバプタンは,嚢胞上皮細胞内で増加するc-AMP(cyclic adenosine monophosphate)を減少させることにより,腎嚢胞増大の抑制と腎機能低下の抑制をもたらすことが期待されている。