特集 最新の腎疾患診療とその展望
3.急速進行性糸球体腎炎 (RPGN)と抗好中球細胞質 抗体(ANCA)関連血管炎の 最新治療
要伸也
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1杏林大学医学部第1内科(腎臓・リウマチ膠原病内科)/腎・透析センター・教授
pp.1317-1322
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201505081
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抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎は,好中球細胞質にある2つの顆粒酵素,すなわちmyeloperoxidase(MPO)とproteinase 3(PR3)に対する自己抗体(MPO-ANCA,PR3-ANCA)の出現を特徴とする,全身性血管炎である。MPA(microscopic polyangiitis),GPA(granulomatosis with polyangiitis),EGPA(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis)の3つの疾患が含まれ,腎臓をはじめとする全身の小・中血管が病態の主座となる。病態には不明の点が多いが,ANCAにより活性化された好中球が血管炎を引き起こすと考えられている。腎臓では急速進行性糸球体腎炎(RPGN)として現れ,壊死性半月体形成性糸球体腎炎の病理像を呈する。近年の治療の進歩により予後は大きく改善しているが,いまだ予後不良の疾患であることに変わりない。標準的な治療薬としては,ステロイドに加え,初期治療としてシクロホスファミド,維持期にはアザチオプリン,メトトレキサートなどの免疫抑制薬が併用される。重症例では血漿交換も考慮される。最近,MPA,GPAに対して,B細胞をターゲットとした分子標的治療薬であるリツキシマブが使用可能となり,ANCA関連血管炎の治療法は大きく変わりつつある。 本稿では,ANCA関連血管炎・腎炎に絞って,最近の治療の考え方について解説する1)~ 3)。