特集 臨床“Kampo”~各科領域におけるエビデンス~
6.小児領域におけるKampoのエビデンス
川原央好
1
1浜松医科大学小児外科・特任准教授
pp.723-728
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201502723
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漢方薬の普及に伴って,成人とともに小児でも漢方薬の使用頻度は急速に増加している。ヒトにおける漢方薬の有効性についてのエビデンスは乏しく,小児では特に少ない。筆者は小児の胃食道逆流症(GERD)に対する六君子湯の効果について,消化管運動生理学的アプローチで解析を行い,その作用についてエビデンスを示した。大建中湯の小児の排便障害に対する効果についても,生理学的検討が行われている。茵 蒿湯,排膿散及湯,十全大補湯,抑肝散(抑肝散加陳皮半夏),麻黄湯などの効果についても,基礎的臨床的エビデンスが示されている。小児の多岐にわたる疾患への有効性が期待される漢方薬が広く使用されるようになるためには,漢方知識の普及とともに多くの方剤のエビデンスの集積が必要と考える。