特集 臨床“Kampo”~各科領域におけるエビデンス~
4.シスプラチンの副作用に対するKampoのメカニズム
武田宏司
1
,
武藤修一
2
,
大西俊介
3
1北海道大学大学院薬学研究院医療薬学分野・教授
2国立病院機構 北海道医療センター消化器内科・医長
3北海道大学病院消化器内科・講師
pp.705-710
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201502705
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六君子湯は,各種消化管機能低下症状に対して使用される代表的な漢方方剤であり,基礎研究においては,ラットにおける胃排出能の亢進作用などが明確となっている。最近,シスプラチンによる遅発性嘔吐および食欲不振に対する六君子湯の効果が,動物モデルを用いた基礎検討および消化器癌化学療法を施行された患者を対象とした臨床研究の両面から,急速に明らかにされてきている。六君子湯は摂食ホルモンであるグレリンの分泌を促進することで,食欲不振や悪心・嘔吐に効果を示すという,極めてユニークな作用を有している。 本稿では,シスプラチンによる食欲不振に対する六君子湯の効果に焦点を当てて概説したい。