特集 臨床“Kampo”~各科領域におけるエビデンス~
7.精神神経科領域に対するKampoのエビデンス~治療抵抗性統合失調症に対する抑肝散の有用性に関する臨床研究から~
宮岡剛
1
1島根大学医学部精神医学講座・准教授
pp.731-738
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201502731
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統合失調症は,精神疾患の中でも最も主要な疾患の一つである。現在,統合失調症の治療は,抗精神病薬による薬物療法が主流である。しかし,抗精神病薬による治療にも関わらず,病状が改善しない難治性や予後不良の治療抵抗性統合失調症の患者が約20~25%程度存在する。今後,新たな発想からの治療開発や治療戦略の必要性が指摘されている。抑肝散は,今や広く精神神経領域において用いられている。我々は治療抵抗性統合失調症への有用性をオープン試験で報告した。さらに,全国多施設共同の二重盲検ランダム化群間試験を実施し,抑肝散の効果の特徴について明らかにした。 本稿では,これらの臨床研究成果を示し,治療抵抗性統合失調症に対する抑肝散の有用性について述べる。その作用機序についても考察したい。