特集2 がん薬物療法の最前線 ~抗体医薬品を中心に~
8.乳癌領域における抗体療法
原文堅
1
1四国がんセンター乳腺科・化学療法科
pp.129-134
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201501129
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乳癌は生物学的腫瘍特性に基づくサブタイプに分類され,サブタイプごとに感受性のある治療薬を選択する。つまり内分泌療法感受性であるルミナルタイプ,抗HER2(human epidermal growth factor receptor type 2)治療感受性であるHER2タイプ,そして内分泌療法と抗HER2治療のどちらにも感受性のないトリプルネガティブタイプに分類して薬物療法を行う。乳癌領域における抗体療法薬は,HER2タイプに対する抗HER2抗体薬として,最初にトラスツズマブが開発され,HER2陽性乳癌の予後を大きく改善した。次いでペルツズマブ,T-DM1(trastuzumab emtansine)といった異なる作用機序を持った新規薬剤が登場し,さらに予後を延長した。またHER2陰性乳癌に対しては,血管新生阻害剤である抗VEGF(vascular endothelial growth factor)抗体薬(ベバシズマブ)が用いられている。本稿では,それぞれの薬剤の作用機序,臨床試験エビデンス,有害事象について述べる。