特集2 がん薬物療法の最前線 ~抗体医薬品を中心に~
6.肺癌領域における抗体療法
渡辺香奈
1
,
前門戸 任
2
1宮城県立がんセンター呼吸器内科
2宮城県立がんセンター呼吸器内科 診療科長
pp.117-123
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201501117
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現在,肺癌における抗体療法の中心は抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)抗体のベバシズマブである。ベバシズマブはプラチナ併用化学療法との併用で用いられ,4サイクルの治療の後,維持療法としてベバシズマブ投与が継続される。併用パートナーとしては,カルボプラチン+パクリタキセル療法が今のところ最もエビデンスレベルが高いが,ペメトレキセドを含むレジメの臨床研究が盛んに行われている。さらには,上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺癌に対し,エルロチニブとベバシズマブの併用試験でエルロチニブ単剤治療を凌ぐ無増悪生存期間が認められ,注目されている。その他にベバシズマブ以外のVEGF抗体,EGFR抗体の新薬開発と免疫チェックポイントを標的とした抗体療法の開発も盛んに行われており,抗体療法を通じて新たな肺癌治療の時代が到来しつつある。