医薬ジャーナル論壇
高学歴社会の終焉がもたらしたもの
佐 藤
1
1新潟大学医歯学総合病院教授・薬剤部長
pp.2785-2787
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201412031
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20世紀末に出現したインターネットとデジタル化の普及により,この20年で世界は産業の種類を問わず,教育研究の分野にいたるまで,既存のあらゆる社会環境を激変させた。情報と産業技術の一般化や低コスト化が,産業革命以来のグローバル化による一企業独占,あるいは世界の一強支配を再現しつつある。
一方,高度な知的集約分野とも言える高学歴社会に守られ,かつては希少価値のあった学士,学位,学会資格などが,グローバル化に伴う制度の自由化促進により,今や大衆化を超えて脆弱化している。グローバル化は,実生活へ安価かつ画一的社会を提供した。だが,知的社会には,自由化と多様化による衆愚化と引き換えに,その終焉をもたらした。