特集 Drug delivery system(DDS)の最新展望
1.DDSを用いた新しい抗がん剤の開発
松村保広
1
1国立がん研究センター東病院 臨床開発センター 新薬開発分野・分野長
pp.1741-1746
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201407053
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抗がん剤のDDS(Drug Delivery System)は,passive targetingとactive targetingに大別される。前者はEPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により達成され,既にいくつかの剤形が承認されている。本邦発のミセル体の一部は,第詠相治験が行われている。Active targetingの抗体・抗がん剤複合体(Antibody Drug Conjugate:ADC)は,乳がんにおけるT-DM1の成功により再び脚光を浴びてきたが,抗体に付加できる抗がん剤は3個までにしないと,抗体そのものの活性が低下する。よってADCにおける抗がん剤は,毒性が強力なものに限られる。通常の抗がん剤は,ナノ粒子に内包してデリバリーするという不文律ができあがったと考える。最近では抗体とミセルの融合,すなわちactiveとpassiveの両方を兼ね備えた複合体の臨床開発の目処も立ってきた。