特集 がん領域における注意すべき医薬品副作用のメカニズムと対応
5.抗がん剤によるアレルギ
岩本卓也
1
,
奥田真弘
2
1三重大学医学部附属病院薬剤部准教授・副薬剤部長
2三重大学医学部附属病院薬剤部教授・薬剤部長
pp.1183-1189
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201404101
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抗がん剤における注意すべき副作用にアレルギー反応がある。白金製剤によるアレルギーは,主にIgE(免疫グロブリンE)が関与するI型アレルギー機序で発症する。軽度な症状であれば,次回以降,抗ヒスタミン剤や副腎皮質ステロイド剤の予防投与により再投与できることが多いが,重症例には再投与が困難である。タキサン系抗がん剤によるアレルギーは,クレモホールELやポリソルベート80といった添加剤が原因となり,I型アレルギーを起こすようである。抗体医薬品によるインフュージョンリアクションは,III型,IV型アレルギーを主体とする反応であり,前投薬の予防投与や点滴速度を低下させることで,エフェクター細胞からのサイトカインの放出を制御することが可能である。しかしながら,セツキシマブによるアレルギーは,I型アレルギー機序が関与するため,発症後の再投与には注意を要する。