特集 がん領域における注意すべき医薬品副作用のメカニズムと対応
4.抗がん剤による皮膚障害の発現機序と対策
雨宮貴洋
1
,
苅谷嘉顕
1
,
本間雅
1
,
鈴木洋史
2
1東京大学医学部附属病院薬剤部
2東京大学医学部附属病院薬剤部教授・薬剤部長
pp.1177-1181
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201404095
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皮膚障害は,多くのがん薬物療法に伴って発生する副作用である。上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤では,ざ瘡様発疹・皮膚乾燥・爪囲炎等が高頻度に認められ,マルチキナーゼ阻害薬やフッ化ピリミジン系抗がん剤であるカペシタビンにおいては,手足に特徴的な炎症を呈する手足症候群が高頻度で認められる。これらの皮膚障害が発現した場合,その重篤度に応じた減量や休薬が必要となるため,原疾患の治療にも影響を与え得る副作用である。発現する皮膚障害の症状には,薬剤ごとの特徴があるため,物理的刺激の回避や清潔状態の維持など一般的なセルフケアに加え,各薬物において発現しやすい症状への対症療法と,発症機構に基づいた治療・予防が重要である。