特集 最近の薬物療法と問題点
抗アレルギー剤および減感作療法
杉田 和春
1
1東京アレルギー・クリニック
pp.765-775
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492204010
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I.はじめに
耳鼻咽喉科領域でアレルギーの機序の関与している疾患はいろいろあるが,その中でもアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎は重要なものである。アレルギー性鼻炎は,アレルギー性鼻症,または鼻アレルギーというべきかもしれないが,ここでは従来の慣習に従つて,アレルギー性鼻炎と呼ぶことにする。
アレルギー性鼻炎と他のアレルギー疾患との合併の頻度は,気管支喘息患者1,000人を調べたところでは,
アレルギー性鼻炎と気管支喘息 74人 アレルギー性鼻炎とアトピー性皮膚炎 13人 アレルギー性鼻炎と気管支喘息と薄麻疹 11人 アレルギー性鼻炎と気管支喘息と アトピー性皮膚炎と蕁麻疹 1人である。これらの合併症は同時に現われる場合も,交互に現われる場合もある。
また,患者の家族にアレルギー性鼻炎,気管支喘息,アトピー性皮膚炎,蕁麻疹のいる患者は,気管支喘息患者1,000人を調べたところでは,母 63人父 59人祖父 53人祖母 50人子供 50人兄弟,姉妹 49人伯(叔)父 4人甥と姪 1人などである。すなわち,家族歴で,父母,祖父母にアレルギー疾患がある場合に,本人にもつとも多く現われ,また子供にも現おれやすい。このことから,アレルギー素因の遺伝が考えられる。
以上のようなことから,耳鼻咽喉科領域のアレルギー疾患を診療する場合には,他の領域のアレルギー疾患を念頭に入れておかなくてはならない。
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