連載 薬剤師による処方設計〈21〉
豊見城中央病院における透析患者への塩酸バンコマイシン投与方法の提案
大塚朋子
1
,
安里美奈
1
,
小杉卓大
1
,
橋本孝夫
1
,
石川美根子
2
,
島添亜依子
2
,
伊集睦美
2
,
大城彩子
2
,
西平守邦
3
1豊見城中央病院薬剤科
2豊見城中央病院薬剤科 ICT
3豊見城中央病院薬剤科 腎臓リウマチ膠原病内科
pp.825-831
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402825
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透析患者へ塩酸バンコマイシン(VCM)を投与する際,「抗菌薬TDM ガイドライン(2012年度版)」では,体重計算による投与設計がなされている。今回,実臨床で使用しやすい1v単位の投与(初回負荷量を1g,それ以降は透析日ごとに0.5g)に最適な血中濃度測定タイミング(初回・3回目透析直前)を踏まえた院内プロトコルを作成し,評価した。初回透析直前平均値は14.19±3.1μg/mL(N= 54)で,全体の85%が早期に目標値10~ 20μg/mLに到達した。3回目の透析直前平均値は16.36±3.0μg/mL(N= 34)で,3回目の透析直前まで有効血中濃度を維持することが可能であった。
投与を継続すると血中濃度は緩やかに上昇し,逸脱を経験する可能性が示唆され,3~4回目の透析以降に投与skipが必要であると考えられた。作成したプロトコルを使用し,投与設計を支援することで,薬剤師が抗菌薬適正使用へ果たす役割は大きいと考える。