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特集 急性心筋梗塞治療の新展開—心筋保護の観点から
側副血行路は増やせるか—臨床的観点から
Development of Collateral Flow after Acute Myocardial Infarction: clinical view point
児玉 和久
1
,
平山 篤志
1
Kazuhisa Kodama
1
,
Atsushi Hirayama
1
1大阪警察病院循環器科
1Cardiovasular Division, Osaka Police Hospital
pp.855-859
発行日 2001年9月15日
Published Date 2001/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902343
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はじめに
冠血流の途絶により心筋壊死が進展し,最終的に心筋梗塞が完成するわけであるが,実験的に冠閉塞の開始から心筋梗塞の完成に至るまでに動物の種によって相違が生じることが知られている(図1)1).この相違は,それぞれの動物種によって側副血行路の形成が異なることに由来する.側副血行路が良好に発達しているモルモットでは,時間がいくら経過しても心筋梗塞には至らないが,側副血行路の発達の悪いブタでは閉塞後1時間でほぼすべての心筋が壊死に至り心筋梗塞が完成している.側副血行路の発達の認められるイヌやヒトではその進展速度が遅くなっている.このように心筋梗塞サイズに側副血行路の関与が明らかにされているが,その出現や発達については未だ不明な点が多い.
ここでは,臨床的観点から側副血行路と心筋梗塞における左心機能に及ぼす影響について触れ,その側副血行路の形成に影響すると考えられている因子をあげて,遺伝子治療を含めた側副血行路の形成・発達を促進する治療の可能性について述べることとする.
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