特集1 抗凝固薬療法の展望と課題
5.抗凝固療法と出血性合併症
矢坂正弘
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1国立病院機構 九州医療センター 脳血管センター脳血管・神経内科・科長/臨床研究センター・臨床研究推進部長
pp.698-702
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402698
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大出血や頭蓋内出血関連因子として,高齢者,日本人を含むアジア人,脳卒中の既往,MRI-T2*画像での微小出血信号,アスピリン併用,腎機能障害,低体重などが報告されている。高血圧,高血糖,喫煙,過度のアルコール摂取などの管理ができる因子を徹底的に治療することや,抗血栓薬の併用を避けること,頭蓋内出血を合併し難い新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)を選択することは,大出血や頭蓋内出血を回避する有効な方策である。大出血時には休薬,止血,および点滴によるバイタルの安定を図り,頭蓋内出血では十分な降圧を行う。ワルファリン療法中はビタミンKや第悦因子複合体投与を,新規経口抗凝固薬療法中は第悦因子複合体投与や,内服後早期なら胃洗浄や活性炭投与を念頭に置く。ダビガトランは透析で取り除くことが期待される。