特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~入院早期の体液管理における役割~
2.クリニカルシナリオ別のトルバプタンの使用法
加藤真帆人
1
1日本大学医学部内科学系循環器内科学分野
pp.102-113
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201401102
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
選択的バソプレシンV2-受容体拮抗薬であるトルバプタンは,腎髄質の集合管に作用し水の再吸収を抑制するため,水利尿作用を有する既存の利尿薬とは違う「間質からの水分回収効果」を持ち,血管内脱水を生じにくいことから,血行動態に与える影響は少なく,また,worsening renal function(WRF:腎機能悪化)が生じにくいと報告されている。この利尿薬のよい適応は「体液の過剰な貯留を伴ううっ血性心不全」,すなわちクリニカルシナリオ(CS)2である。トルバプタンをより効果的に使用するには,早期導入と早期離脱,そして飲水管理は不可欠である。また,神経体液性因子を抑制するβ遮断薬やレニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系(RAAS)阻害薬など,慢性心不全に対するStandard Therapyの併用が,より良い効果をもたらす可能性も報告されている。